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岐阜県の富山県境付近には、余り人の入っていない山が数多く存在している。籾糠山の奥にある猿ヶ馬場山等もその一座で、登山道が開かれていない薮山の為、入山者の殆どは残雪期に稜線づたいに登っている。この奥美濃の深山に奥美濃の山に精通している先達のガイドで登ることにした。
金曜の夜に東京を出発し、途中で分岐の標識を見落としたため、登山口の天生峠には深夜に到着。テントを張って仮眠をとる。翌朝は5時30分に起床。朝もやの中、朝食のカップラーメンをすすりながら、仮眠用に設営したテントを撤収し、登山の準備を進める。籾糠山から先の沢で使う「渓流用ゴム靴」や、長行程に備えた行動食、祝杯用のビールを入れた保冷庫を入れると、日帰用のザックは直ぐ一杯になった。準備万端整えて、6時20分天生峠の駐車場を後にした。
天生峠の駐車場から籾糠山への行程は、中部北陸自然歩道にもなっている登山道で、良く整備され歩き易い道が続いていた。峠の駐車場から15分程で、天生湿原に到着。滑りやすい木道を慎重に進む。湿原から先は沢に沿って緩やかな道で、時折現れる標識で位置を確認しながら籾糠山を目指す事にした。周囲は人の手が入っていない原生林で、時折現れる巨木が素晴らしい。歩き始めて一時間位の所で、三本の巨木と出会った。根元の周囲には、ポッカリと空間が広がっている。林層は少々違うが、屋久島の巨木森を思い出す。巨木が辺りを睥睨する様は、何か神秘的ですらある。
峠から1時間20分程で、平行して流れていた沢を渡り、急登が始まった。猿ケ馬場に20回以上登っているという先達の話では、以前に籾糠山手前の稜線部からから、大瀬戸川上流部の沢筋に向かって、薮が刈られて道が付けられた事があると言う。入山者が少ないにしても、踏み跡ぐらいは残っている筈で、登山道から右に折れる踏跡を探しながら進んだのだが、籾糠山の山頂に出てしまった。
山頂からは、直ぐ隣に平らな猿ヶ馬場の山頂が望め、道が付いていれば一時間もかからずに登れそうな距離に感じる。目指す猿ケ馬場山を眺めながら、籾糠山の山頂でひと休み。
籾糠山からは踏み跡も消えいる様で、薮を漕いで200mの坂を下り、沢筋を辿って猿ケ馬場山の山頂へ。漸くにしてその頂を踏むことが出来た。
(記 平尾 肇)
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