山旅の記録
(シニア百050)

    櫛形山脈  −日本最小の山脈を歩く
    日程:2012年10月24日 
      (掲載日:2025年10
月20日)


















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 中条ICから関沢森林公園への道を辿って関沢登山口駐車場に着いたのは8時前だった。右にゲートを抜けて行く道は大沢尾根コース、直進するのが山の神コースとなっている。私たちは山の神コースをとることにした。歩き出しは8時5分。スギの植林帯を初手から急登する。スギは雪国らしく根元が撓んでいる。一投足で中の沢尾根コースとの分岐に出た。道標には左に行けば山の神、森林公園に出るとある。右にとり急登する。ヤマナシの実が落ちていた。家人が口にしたが、固くて食べるところが少ないが、あまいナシの味がしたそうだ。ホウ葉がたくさん落ちていて、同行の山仲間はいくつかよさそうなのを拾っていた。ブナやホウ、アカマツ、ミズナラなどの雑木林に変わり里山の風情となった。

 市ノ沢城跡(要害山)分岐に着いたのは8時43分。すぐ先で主尾根に突き上げた。アカマツが目立つ尾根を急登する。ふたたび中ノ沢分岐に出るが、こちらは熊も転げ落ちるような急降下だった。ヤマグリの毬がたくさん落ちている。だが実はない。あっても見事にくり抜かれていた。おそらく地主の仕業ではなかろうか。熊は爪を使って器用に木の実を食べる。櫛形山脈は「山栗山脈」といっていいほどヤマグリの毬が多かった。歩いているとポタリとクリの落ちる音がした。9時7分、いよいよ縦走コースに入る。晴れ間が広がり、今日の好天を約束してくれるようだ。とても気分がいい。滑りやすい粘土質の道を急降下する。鞍部からはロープ頼りの木の根を踏む急登となった。登り切ると右に曲がり、ほぼ平坦な尾根歩きとなる。強い風が日本海から吹いて来て冷たく感じられる。日本一小さな山脈「櫛形山脈」の主峰、櫛形山に着いたのは9時28分。二等三角点標石にタッチし、展望図板で山座同定する。大日岳はピークが雲の中だったが、二王子山や7月に縦走した北股岳、杁差岳などを眺めて十分満足した。

 折角なので分岐に戻り縦走することにした。ブナの巨樹が連続する。相変わらずヤマグリの毬が散乱している。ツバキが群生していた。いよいよコブの乗越しが始まった。小さいのも入れるとコブは20を越えた。二つ目のコブは飯角(いいずみ)口分岐となっている。ブナに囲まれて展望はない。ブナは若木が多くなった。4つ目のコブを過ぎると、またまた滑りやすい急降下となった。標高差で50mはあろうか。小さなコブを4つ連続で乗越すと、ブナの巨木が現われた。家人は幹の数で五人家族、四人家族、三人家族と名付けていた。10個目のコブには三等三角点標石があった。木の枝の間から蒲原平野と日本海が望めるだけである。登山道の右側がスギ林となる。ほとんどアップダウンのない道が続く。ヤマグリがたくさん落ちているがやはり実は一つもない。緩やかに下ると、鞍部にベンチが3本置かれていた。「鳥坂(とっさか)山2.9km」の標識があった。櫛形山からだと6.5kmなので、すでに半分以上歩いたことになる。12個目のコブで右に曲がり加減になるが、まだ左折点ではない。左奥に見える鳥坂山への稜線はまだまだ遠い。アカマツ、ヤマザクラ、ブナなどの雑木林を行く。13個目のコブを越えて少し急降下すると板入峰。初めて山名標識が出たことになる。11時52分着。ここもブナに囲まれて展望は得られない。15個目のコブで90度左に曲った。いよいよ縦走も佳境に入ったことになる。16個目のコブは黒中山(446.4m)である。分岐となっている。少し先でロープの急降下となる。ここでも木の根に乗って滑ってしまった。コブ18のあたりではハウチワカエデの紅葉が美しい。

 登山口の案内案にあったユズリハの峰(385.6m)に着いたのは12時40分。ヤマモミジやユズリハの古木がある。ここから下ることもできるが、皆ここまで来たからには鳥坂山まで歩いて縦走を完結したいと思うようになっていた。20個目のコブが樽ヶ橋分岐、すぐ先に鳥坂山(438.8m)があった。13時5分着。マイクロウエーブが見えている。蒲原平野が広がり、日本海に浮かぶ船も見えた。中条タクシーに電話し、コースタイムを参考に14時30分に宮の入登山口に迎えに来てくれるように頼む。マイクロウエーブに着いたのは13時31分。コースタイム通りに歩けたことになるので、一本立てて赤飯を食べることにした。後続が来たのを汐に13時44分出発する。五の掘から始まって一の掘まで空堀が連続する。鳥坂城跡の遺構とされているようだ。白鳥山(305m)に着いたのは13時59分。鳥坂城跡で奥山荘城館遺跡として国の指定を受けている。白鳥コース分岐を右にとり、よく手入れされたコンクリート擬木の階段道を下る。転落防止のクサリまであった。下ザサのスギ林を下ると、ほどなく宮の入登山口だった。14時23分着。タクシーはすでに来て待っていてくれた。国道7号に出てヤマダ電気を左折すると朝の道となり、関沢登山口駐車場に戻ることができた。
 今日は天候に恵まれ、櫛形山から白鳥山まで縦走することができて大満足で帰京の途につくことが出来た。                              

                                          (記 山本 進吾)