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11月17日、今日は久恋の雨乞岳に登る日だ。日向山は二度登っているが、雨乞岳はさら にロングコースなので半分あきらめていた。だが山梨の山仲間から新道ができて登りやすくなったと聞いたし、「シニア百山」にも選ばれたので、何としても登りたいと思っていた。
雨乞岳は『山岳ルーツ大辞典』(竹書房)によれば、「農耕民にとって長く日照りが続 いたとき、この山で神楽を奉納し、相撲をとったりして神に雨を祈願したことを示す山名。主に山頂で行った。」とある。まさに雨乞の山だ。やはり朝のNHKの気象情報では午前中は小雨、午後 からは本格的な降りとなり雷の恐れもあるということだった。本格的な雨になる前に早目に勝負を付ける方がいいだろうと、韮崎に着いたのは6時15分。「ヴィレッジ白州」のすぐ先の登山口に着いたのは7時50分前。小雨がパラついているので合羽上下を着込む。歩き始めたのは7時52分だった。
すっかり葉を落とした カラマツ林を行く。木の階段も随所に設けられよく手入れされた道を緩やかに登る。遊歩道のように素晴らしい道だ。これが昨日のように快晴なら最高のプロムナードといえるだろう。九十九折に登ると、遊歩道との分岐に出る。少し先でふたたび合流し、さらに遊歩道との分岐を通過する。いつものような山道となると雪が現われた。ことし初めての雪踏みである。
ダケカンバが混じるようになった。立ち休みして山仲間からキリンのメッツコーラを 分けてもらう。コーラを飲むのは40年振りくらいだろうか。コカに比べて甘みが強いような気がしたが、糖分ゼロだそうだ。雪がしっかり登山道を覆うようになった。水平道を行き、右に緩やかに巻くように登ると、「運が良ければ水場→」の標識がカラマツ に打ち付けられていた。右の谷が源流のようだが、確認するのは帰路にして先を急いだ。ここまでで1時間45分、昭文社の『山と高原地図』では1時間40分となっているので、ほぼコースタイム通りだと喜んだが、ここから先が長かった。
「雨乞岳山頂まで60分」の標識を通過する。右折して痩せた尾根を行く。 右は膝下のササの緩斜面だが、左はササなどで印象が緩められているが切れ落ちた崖と なっている。落葉に雪が載って極めて滑りやすい。滑落するとただ事ではなくなるので 慎重に登った。左からの強風が冷たい。雨が小雪になったようだ。黒い雲がどんどん動いているのが分かる。 広い尾根を登り、「雨乞岳山頂まで40分」を通過する。まだまだ山頂は遠い。緩やかなアップダウンをこなし、もうそろそろ山頂かと思うと、ここには○分の 表示はなく「山頂直下尾根」と記されていた。ここから最後の急登が始まった。
雪を踏 みながら、寒風に耐えて頑張る。さらに30分近くかかったが、傾斜が緩むと山頂部の 一角に立ち、とうとう待ち遠しかった雨乞岳の山頂に立つことができた。11時2分。
登山口から3時間10分かかっていた。だがコースタイムも3時間、大善戦であろう。三等三角点標石に触れ、倒木に腰掛けて昼食にする。
日向山がガスの中から一瞬全貌を 現わした。かつてあそこに立って雨乞岳を眺めてため息を吐いたものだ。そのピークに 立っている喜びが込み上げて来た。
軽アイゼン(4本爪)を装着する。だがストッパーが機能せず、雪が団子状に付いて しばしば叩き落とす。
水場に戻ったのは13時2分。家人が水場の確認に下った。水がチョロチョロ出ていたそうだ。駐車場に戻ったの は14時23分だった。下山後は甲府近郊の宿に移動、近くの鼓川温泉で冷えた体を温めた。
(記 山本 進吾)
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