「シニア百山」の選定を了えて
                                      選定委員長 西田 誠之 
  
  当クラブの設立三十五周年記念事業として、「シニア百山」刊行の企画が取り上げられて後、その実現の為に目指す山を一つ一つ選考して「百山」を確定するまで、2年余の歳月を要しました。選定基準、選考経緯については会報73号に詳述していますが、意図した処は、体力的負担が少なく、危険や大きな困難を伴わず、中高年や熟年者でも無理なく登れて、しかもその意思に適う特異性のある顕著な魅力を兼ね備えた山、そういう山々を新たに「シニア百山」として選出し、その魅力を紹介する。そして、その山々への登山を通じて熟年者を元気づけよう、という試みでした。勿論その中には我々自身も含まれており、当クラブの活性化をも意図した企画でした。

 選定委員会の強力なメンバーと、会員皆様の後押しのお陰をもってしても、その選定作業は容易ではありませんでした。しかし最終的には、当初意図した以上の魅力ある山々を選出、さらに年余を掛けてその山の魅力を執筆戴き、また多くの裏業を担われた幹事諸氏の尽力によって、ようやく本書を皆様の御手元に届ける事が出来ました。

 あらためて選定された山々を一覧すると、地域的にも広範囲に渡り、多種多様な魅力を秘めた山々がちりばめられています。一山一山拝読すると、その山を推薦された方々の長い山行経験に裏打ちされた、深い思いが伝わってきます。つまり、年配者向きの山、高齢者向きの山、ということは、そのまま相当な登山経験を有する登山者の感性にも耐えられる「高い魅力を秘めている山、味わいの深い山」ということに他ならなかったのです。

 多くの示唆に富んだ山々を網羅した事から、これまでの名山選定とは一味違う選定が出来たものと自負しています。いずれは、全国の登山愛好者の鑑賞や批判にも耐えていかなければならないと思いますが、まずは苦労を共にされた皆様と本書の刊行を喜びたいと思います。そして、この「シニア百山」が、会員共通の携書として愛されることを願ってやみません。