プリトヴィツェ湖群国立公園(世界遺産) 
   
(クロアチア
) 撮影日 2002年6月22日〜23日

木製の遊覧船

白糸の滝

湖水と滝

上段から下の湖水
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 毎年夏になると思い出すのが、2002年6月に訪れたクロアチアのプリトヴィツェ湖群国立公園。そこは山中の、清涼な桃源郷である。
       
 当湖群国立公園は、クロアチアの首都ザクレブから南へ約140qのところにあり、アドリア海の港町、サダールやスプリットへ行く幹線道路沿いにある。バスなどの便はよく、所要時間はザクレブからバスで1時間半から2時間。
 当湖群国立公園の特徴は湖群と滝。高低差のある美しい湖群が山中に位置し、それらが滝によって階段状に繋がっていることである。面積は29,482fに及び、そこは熊、狼、鷹などが生息する原始の山中である。1979年世界遺産に指定され、年間100万人の観光客が訪れる。公園内の案内板はクロアチア語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、チェコ語、ハンガリー語で書かれていた。

 ブナや樅の大木に覆われた標高1000m前後の山が重畳する山中に、大小16の湖が青緑色に輝き、それらは92の滝によって階段状に繋がっている。これらの湖群と滝は一朝一夕にできあがったものではない。何百万年という気の遠くなるような歳月をかけて、水と石灰岩の作用がつくりあげた自然景観である。

 炭酸カルシュームの堆積作用及び藻類やコケの作用が石灰華を沈殿させてダムを造って湖を分断する。石灰華は湖底や岸辺を覆うので、湖水は輝くように美しい。新しい石灰華、障壁、鍾乳石、水路、小滝等は現在も出来つつあり、現存するものは常に変化しており、これらの造形作用は天然の自然環境の中でしか進行しない。

 初夏の陽射しは強いが、鬱蒼と繁った公園内は木陰が多い。適度に湿度をおびた湖上からの冷涼な風をうけながら、湖群を巡る起伏の多い山中の散策は、実に心地よかった。美しい清冽な湖水や渓流をみているとつい入りたくなるが、国立公園内は遊泳禁止。国立公園地図をみると、遊歩道を離れて少し奥に入った山中には熊や狼が生息している。このような自然環境も、人が湖や渓流に入るのを防き、自然環境の保護になっているのであろう。
 なお、夏だけでなく、ブナが色づく秋も綺麗だろう。(作成者 吉田博至)