鬼怒沼と鬼怒沼山
                            ( 撮影日 2004年 7月 )


鬼怒沼

日光沢温泉

 7月初旬、鬼怒川の源流にある鬼怒沼の湿原を訪れ、鬼怒沼山に登った。奥深いためか訪れる人も少ない、花美しく、眺めもよい山上の楽園であった。日光沢温泉の湯もよい。

 東武鬼怒川温泉駅からバスに乗る。途中龍王峡を探勝し、終点、女夫淵(めおとぶち)温泉で降り、日光沢温泉まで奥鬼怒自然歩道を1時間半歩く。樹林をわたるそよ風が頬をなで、鬼怒川の流れの音を聞きながら八丁の湯、可仁湯の前を通り過ぎ、薪を軒下に積み上げた日光沢温泉に着く。八丁の湯、加仁湯は観光旅館で送迎バスがあるが、日光沢温泉は山の宿で送迎バスはない。白濁した硫黄泉は熱くて水でうめて入る。野天風呂が2つあり、1つは白く、1つは透明、3つの風呂をハシゴする。

 宿の横が登山口、登り始めて間もなく、オロオソロシの滝展望台から細長い滝を眺める。オロとは日陰の意、日光白根山が見え始める。コメツガ、トウヒ、アスナロ、シラベ、タケカンバなどの樹林帯を登り、湿原が近づくと道が湿ってくる。
 2時間余で木道に取りつく。視界がぱっと開け、青空が広がる。わたすげの白い穂が風になびき、タテヤマリンドウが太陽に輝いている。東西410m、南北720mの湿原にある大小47の沼には、青空に浮かぶ白雲が影を映し、ゴゼンタチバナ、ヒメシャクナゲ、イワカガミなど、沢山の高山植物が目を楽しませてくれる桃源郷。基準点の標高2039m。

 振り向けば日光白根山、左手の山陰からは尾瀬の燧ケ岳、上越の平ケ岳が見え、名山の展望を楽しむ。湿原が終わる所に鬼怒沼巡視小屋があり、避難小屋も兼ねている様子、ここから鬼怒沼山2141mに登る。早速この山に多いオサバグサを見付け、登り返して頂上に着く。頂上はオオシラビソの樹林に囲まれ、樹間から白根山が見えた。
  再び湿原を歩いて下山する。夏の思い出がまたひとつ増えた。( 作成者 伊東 守 )