5月のピレネー山麓他(フランス)

              
 (掲載日 2008年6月22日)

モナコの裏山

山頂の砦

アントルヴォー村

ルールド駅前から

ミサに集う人々

ガバルニー村

ガバルニー峡谷

新緑と峡谷
高台の町ポー
アンリ4世の城
*上記の写真はクリックすると大きくなります。
 紺碧の海と空の華やかな南仏ニースは、その背後にヨーロッパ・アルプス南端の岩山が迫る。今年5月再訪の機会があったので、その山里を訪ね、その後ピレネー山麓まで足を延ばした。幸いにも夏季シーズン前の静かな山里を楽しめた。

●プロヴァンス鉄道に揺られて、中世の要塞都市アントルヴォーへ
 6日(火)。ニース8時50分発の狭軌道の電車は、観光客を一杯乗せ、大きく揺れながらヴァール川に沿って山あいを疾走した。車窓の風景は直ぐに山岳景観に変わり、北方はメルカントゥール国立公園の山々である。アントルヴォーまで約1時間半。

 駅から岩山の頂に砦が見えるので迷うことはない。ヴァール川にかかる古い橋を渡って閑散とした旧市街に入る。くねくねと曲がった石畳の坂道を登ると砦の入口がある。そこから山頂まで30分。人気のない砦から、眼下にアントルヴォー村、その周りの重畳たる山並(標高1500〜2000m位)や白いアルプスの高嶺の景観を楽しんでいた。その時、登ってきた中年夫妻が手真似をして私の写真を撮ってくれた。

●ピレネー山麓のルールド、ガバルニー大峡谷と高台の景勝地ポー
 12日(月)。カトリックの巡礼の聖地ルールドへ。ホテル、土産物屋と人がやたらに多い。この人口1.5万の町は年間500万人訪れるので、ホテル数はパリ次いで多い。
 ここで復活祭から10月15日まで毎晩ミサ(21時〜22時)がある。異教徒ながら私もローソクを灯して参加。世界中から来た数万人が、大聖堂前広場でローソクをかざして賛美歌を歌う。その歌声はオペラのアリアのように暗闇の山中に響き渡る。荘厳・華麗なミサに感動した。最後は周囲から握手を求められて爽やかな気分になった。

 翌13日(火)。ルールドから約100Km離れたカバルニー大峡谷(世界自然遺産)をバス・ツアーで訪れた。シーズン・オフのためルールド発13時45分・19時帰着のツアーしかなかった。片道約1時間、現地では集合時間の17時半まで全て自由行動だ。参加者は国際色豊な26名、内アジア系5〜6名。料金1人16ユーロ。
 当峡谷はピレネーの高峰ベルデュー山(3355m)からビニュマール山(3298m)へ続く岩稜のフランス側である。古代ローマの円形劇場のような大岩壁が上半分を雪に覆われ、新緑の上に聳える様は壮観であった。上部へ登るにはスペイン側が楽だ。当地は年々急ピッチで開発が進むが、土産物屋も少なく、まだ素朴な風情が残る。

 14日(水)。雨空だが高台の景勝地ポーへ行く。残念ながら、有名な大ピレネー通りから望むピレネーの山並は厚い雲の中。ブルボン王朝アンリ4世生誕の城など見物した。 なお、5月は一年中で一番美しい季節らしいが、ピレネー山麓へ来てから雨空が多い。今年は例年より雨が多いそうだ。(吉田博至 記)