セガンティーニ美術館 (サン・モリッツ)
    ―アルプスの牧歌と郷愁―
                 撮影日: 2004.7.10

セガンティーニ美術館

セガンティーニ美術館

サン・モリッツ湖と山の眺望

サン・モリッツ
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 今年の7月上旬、イタリアから列車でスイスのエンガディン地方へ行った。高級保養地サン・モリッツはホテル代が高いので、隣村のポントレジーナに泊った。その折、セガンティーニ美術館を訪れた。

 この村のことは当クラブの鈴木さんや村瀬さんから聞いていたが、サン・モリッツよりずっと小規模の親しみやすいリゾート地で、山好きにはお勧めの場所。シャモニー在住の日本人登山ガイド津田さんの紹介で、家族経営のこじんまりしたホテルに泊ったが、長期滞在者が多いせいか、部屋は居間と寝室の2間、食事も良く、居心地のよい宿だった。

 生憎天気は芳しくなく、一日に四季があるように小雨・曇・晴とくるくる変わった。今年は例年になく山に雪が多いらしい。2日目は比較的天気が良かったので、ロープウェイでコルヴァッチュ展望台(3303m)へ上り、その下のムルテル展望台からロゼックの谷へ下り、花の多い道をポントレジーナまで歩いた。3日目は朝から小雨だったので、山は諦めて、サン・モリッツ観光とセガンティーニ美術館へ出掛けた。

 サン・モリッツの市街地から美術館まで徒歩10分。帽子を被ったような丸屋根の特徴ある石積み建物のため、すぐわかった。この辺りからはサン・モリッツ湖とそれを囲む山々の眺望が素晴らしい。
 館内1階フロアはアルプスの高原の生活などを描いた小品が多く、2階にある代表作、「生」、「自然」、「死」と題されたアルプス3部作は大きくて迫力がある。これらの作品から農民生活への郷愁を感じたが、時代を超えて人の心に通じるものがある。展示作品は全部で30点にも満たないが、なかなか見応えのある美術館であった。撮影禁止のため、館内の模様を紹介できないのは残念だ。

 アルプスの高原を描きつづけた画家・セガンティーニは、19世紀末のヨーロッパ象徴主義芸術を代表する画家の1人。日本では明治末期に白樺派の人達によって紹介されてから、高く評価されています。私は1978年8月に群馬県近代美術館で「セガンチーニ展」を見ていたので、26年振りにセガンティーニの絵と再会し、大いに満足して美術館を後にした。
 (作成者 吉田博至)