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*地図:古処山(出典:国土地理院サイト)
福岡県南部の城下町「秋月」。その北部に、古の参詣道の雰囲気を良く残している古処山があります。古処山は山頂部にツゲの原始林が存在し、かつては山伏の集う霊場だった頂きで、戦国時代には秋月氏400年の本城として、九州一の要塞を誇っていた山でもあります。南に築後平野、北に飯塚盆地に挟まれた山並みの一座で、福岡から近くアプローチも良い古処山を、晩秋の11月に訪ねました。
山頂への道は何本かありますが、登山道が九州自然歩道とも重なっていて、麓に広い駐車場もある西側の登山口から登る事にします。駐車場に車を停めて歩き出すと、林道はすぐ沢沿いの登山道となります。かつては石とコンクリートで作られた参詣道が設けられていましたが、近年の豪雨でその殆どが流されてしまい、今では普通の登山道になっていました。概ね歩き易い道ですが、一か所だけロープの助けで、沢を登り返すところがありました。五合目駐車場手前で小雨が降りだし、雨具を身につけます。
杉の美林が自然林に替わり、ツゲの木が現れると山頂まではあと僅か。苔生した石仏が迎えてくれると、程なく山頂に到着です。ツゲの古木と並んで、この山を特徴づけるのが「オオキツネノカミソリ」の草。初夏にオレンジ色の可憐な花を付ける草が、山頂付近では保護されていました。天気が良ければ飯塚盆地を囲む福岡南部の山と秋月の街が一望できるのですが、今日は残念な天気で展望はありません。山頂部を少し散策してから、下山の途に就きました。
下山後は時間に余裕があったので、麓の秋月の街を散策します。「筑前の小京都」と言われるだけあり、趣のある街並みでした。街の中心には秋月城址がありましたが、秋月が最も栄えた秋月氏の時代は、古処山が巨大な山城だった事を思うと、感慨もひとしおです。修験の山として山伏が闊歩していた頃に想いを馳せながら、「しっとりとした森」を楽しむことが出来た古処山、そして趣のある秋月の街を楽しむ旅が出来ました。
(記 平尾 肇)
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