*写真はクリックすると大きくなります。※付きは拡大写真をclickで更に拡大する。 常念岳コース図1 コース図2
昨年、最初の緊急事態宣言が解除となった後、夏の間は感染防止に気を遣いながらの二百名山完登行脚だった。今年はそんな目標もなく無理はしないと思っていたが、ワクチン接種済みでもあり、夏山という響きには勝てず、常念岳〜蝶ケ岳のテント山行を企画した。
竹橋発の夜行バスは空いていたが、そう寝られるものではない。それでも開けた沢から高みに朝陽が当たっているのを見れば、気持ちは稜線に飛んでいく。傾斜のゆるい王滝ベンチまでは快調だった。笠原沢を渡ると下山の方とすれ違うようになる。胸突八丁の木の階段には「滑落多発区間」の脅し文句。過ぎれば最終水場となり、4リットル近くの水を汲むと俄然ペースが落ちる。それでも常念乗越に着けばホッと一安心。山はすでに雲の中だった。早速テントを設営し、田淵行男になった気分で辺りをうろうろするが、高山蝶(ミヤマモンキチョウ、タカネヒカゲなど)についてはド素人で何も発見できない。ただビールを飲むばかりなり。小屋のカレーを昼食とし、ブラブラしていると雲行きが怪しくなり、雷も鳴りだした。15時くらいからは酷い雨となり、その後も夜まで降り続いた。
それに耐えたご褒美か、翌朝は見事に晴れ、ヘッドランプを点けて山頂へ。ご来光には間に合わなかったが、途中で手を合わせ、山頂からの眺めを堪能する。影常念もくっきりだ。しかし天気は長続きしない。最低鞍部近くのお花畑はガスの中。蝶槍への登りは雨混じりとなった。足首の踏ん張りがきかない私は濡れた木の階段下りは怖い。テントも寝袋も濡れたことだしと、三股に行く予定を変更して横尾へ下り、上高地から雷の中をバス・電鉄と乗り継いで、押さえた松本市内のホテルに転がり込んだ。「あー若い時のようには歩けない」と痛感。
最終日は気分を変えて柏矢町から田淵行男記念館を訪ね、戻って松本市内の画廊喫茶で豊かなひと時を過ごして帰宅した。
(記 荒井 正人)
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