*写真はクリックすると大きくなります。 ※付きは拡大写真をclickで更に拡大する。 合戦尾根コース図
燕岳は北アルプスの人気コースの一つで、夏山はもちろん、残雪期、冬山でも入門コースとして多くの登山者が訪れる。燕山荘が営業していることも有難い。今年のゴールデンウィークのはじめに、友人とおじさん二人、若ぶって夜行バスにテント泊で登ることにした。
登山口近くにはスミレも咲いていたが、途中から笹にうっすら雪が積もってくる。第一ベンチに着きアイゼンを付ける。高度を上げるほどに、白い世界となっていく。三大急登と言われる合戦尾根だけに寝不足の体にはきつい。加えて久々の15キロのザックが肩に食い込む。第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチと、道標が首まで埋まっているような積雪量。それぞれで一息入れながら合戦小屋を目指す。小屋は営業していて、少し遅れ気味の友人を待つ間コーヒーを注文する。多くの登山者が休んでいたが、皆ザックは小さめだ。ということは小屋泊まりなのだ。粋がってテントなんかにするのではなかった、との後悔が頭をもたげる。
お疲れモードの彼と合流し、周りの景色は見えないものの、赤旗で迷うことのない雪稜を黙々と登る。燕山荘に着き予定通りテント泊申込する。西からの風が強い中、小屋から借りたスコップでブロックを切り出し積み重ね、雪面を踏み固めて二張分設営に90分を要した。中に入れば飛ばされそうな強風となり、出るに出られない。結局お互いのテントの中で食事を済ませ、バタバタとはためくテントの中でひたすら耐える。その甲斐あって未明に風は止み、神々しいまでの夜明けと、槍ヶ岳をはじめとする山々のモルゲンロートのご褒美にありつけた。おまけに下る途中、環水平アークらしい彩雲のような現象にも出くわし、中房温泉に満足感一杯で浸かったのだった。(記 荒井正人)
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