高辻謙輔著 『日本百名山と深田久弥』  掲載日2005年2月17日
 本書の著者は、平成11年9月に深田クラフが出版した『深田久弥の研究 読み、歩き、書いた』(深田クラブ編、新ハイキング社刊行)の主要執筆者の一人であり、深田久弥研究家である。

 詳しい書評は会報に譲るとして、ここでは簡単に紹介させていただきたい。本書は「日本百名山」完成の経緯と深田久弥の世界を、余すところ無く私達に伝えてくれる。しかも、膨大な資料を駆使し、検証を積み重ねる手法で、高辻さんの誠実な人柄や勤勉さがにじみ出ている。深田クラブ会報61号の私のインタビュー記事とあわせてお読みいただければ幸いです。

 著者は、自分と似た面をたくさん持つ深田久弥の魅力に迫るべく、あらゆる資料を捜し求めた。当時の状況に鑑みて、その信憑性を問い直し考え真の姿に近づこうと努力している。それが無欲のままなされているので、より一層、読む者の胸を熱くする。長い間の研究が 素晴らしい本に結実した喜びを著者及び会員ともども分かちたい。
 また、本書は日本図書館協会の選定図書にもなっており、多くの人に是非、一読をお勧めしたい。
 なお、本書の書評は、『岳人』2月号や『山の本』NO.50号にも詳しく掲載されている。

 *深田クラブ会報61号のインタービュー記事、当ホームページの「クラブの仲間」欄に掲載されているので、それと併せてご覧いただければ幸いです。(渡辺恵美子記)

 2003年11月発行 白山書房刊  277頁 本体1600円+税